トン、トン、と人差し指が腕の関節をリズムよく打っている。
それはまるで、「正直に話せ」と言わずして語っているようで、私は一度きゅっと口を結んだ。

さっきとはうってかわって張り詰めた空気、とても嘘なんてつけない。

いいや、嘘をつかなくちゃならない状況でもなかったはず、なのにこんなことを思ってしまうのは――……高杉"さん"の視線が至って真剣で、なんだか自分が危ない立ち位置にいる気がしてならないから。


「何故って…?わ、私、は学校から帰っていただけだけども」


そう答えれば、高杉さんの眉が片方ツンッと上がった。
見るからに怪訝そうな顔。


「何?」


「いえ、だから………学校、から……」


つい、小さくなる声。
なんだろう、急に不安で仕方がなくなってきた。


「学校?なんだそれは?」


そして急に、嫌な予感もしてくる。


「知ら……ないんですか?ほら、あそこにある…」


と、道の奥を指差すと共に確認するように視線を送れば、そこには学校がなくて。
ただただ続く、細い道。


「どこだ?俺はそちらから歩いてきたはずだがな、それらしき物はなかった筈だ」


「そんな……」


思わず絶句。