「ここで待っていて下さいね、朔さん」


笑顔の沖田さんにそう言われて屯所の前で待つこと数十分、沖田さんはさっきとは違う着物で出てきた。

勿論羽織りは脱いでいて、少し残念な気持ちが半分、ホッとした気持ち半分。

何故かって、そりゃあ。

あの浅葱色の羽織りは目立つ上にこの京の街では有名なものだから、隣で歩いているだけで色んな人の視線を集めるのだ。

そして、その隣を歩く私も勿論注目を集めるわけで……。

道中、何度沖田さんに「すみません」と謝らせてしまった事か。


「お待たせしました。さて、まずはどこに行きましょうか—————……京、と言えば」


「神社……?」


「……ふふっ。それはどういうことでしょうか、朔さん?」


はっ、とする。

そのイメージは、完全に現代のものだ。

運よく沖田さんはクスクスと笑うだけで勘付いてはいないよう。

ほっと息をついたのはたった数秒、沖田さんがピンと人差し指を立てたからにはそこを注目せざるを得ない。