「あーあ。ついに、ってぇ訳かよ。クソジジイめが」


とある日、高杉さんと縁側で並んでお団子を食べていた時だ。

怪我の調子はどうだとか、傷跡は残らねぇかとか、そんな話をしていれば。


奇兵隊の方が一人、高杉さん宛の手紙があると届けてくれたのだ。

それを受け取った高杉さんは、差出人の名前を見るや否や渋い顔をしたのが私でさえわかる。

ご苦労、なんて言って奇兵隊の方を返して、その手紙の内容に目線を走らせること数分――……読み終えたのか、空を見上げてため息混じりに発せられた言葉がこれだった。


「何方からですか?」


「あん?あぁ……親父」


「え、高杉さんの?」


「そ。廃嫡だとよ。まぁ無理もねぇなあ。寧ろおせぇくらいだ。タラタラしやがって」


高杉さんは肩を竦めて言うけれども、私にはどこか寂しげにも見えて。

食べ掛けのお団子を隣のお皿において、そっと手紙を持っている手に自分の手を重ねた。


「……寂しい?」


「そう見えるか?」


「はい」


は、と短く笑う。


自覚はなかったみたい。


「なら、そうなんだろうかなあ。けどよ、これでなんのしがらみも心配もなく動ける。気にかけることは少ない方が楽だ。違うか、朔?」


「そうですけど――……」


「何、おめぇさんが気にすることじゃねぇ」