意識が浮上していく。

心地よい闇のなかから、少しばかり瞼を持ち上げれば光が差し込んできた。


その先にいるのは。


「たかすぎさん……」


「よ。起きたか」


だから、安心して眠れる。

夢を見れる。

そうして、起きる事ができる。

貴方の存在がこんなにも大きくなったのは、近付いたのは、いつから?

……なんてね。


「おはようございます。今、何時ですか?」


「朝」


「適当な答えですね。正確な時間がわからないってことですか?」


「ま、そういうこっちゃな」


肩を竦めた高杉さんは、よっこらせと腰をあげる。


「さって、朝飯もってくっかね」


「あ、ちょ、その前に」


そのまま部屋を出て行ってしまいそうな高杉さんの着物の裾を掴んで止める。

そんな私を怪訝そうに見て、首を傾げた高杉さんはすんなりと行動を止めてくれた。

だって、今話しててふと気になったんだ。


「あの。えっと、私の思い上がりだとか、自意識過剰だったら恥ずかしいんですけど」


「あー?どういうことだ?」


「いや……その、…………私が起きるといつも、高杉さんいるじゃないですか?」


「あー。おう」


じ、と高杉さんを見る。


「どうしてですかね?」


「……………。」


「高杉さん?」


あれ、固まっちゃった。