気付けば、チチチと鳥が鳴く声が聞こえた。

嗚呼、自分は起きたんだと自覚してゆっくりと目を開ける。


静かな部屋の中に高杉さんの姿はなく、たった5畳程の広さだというのにとてつもなく大きな場所に一人残されてしまった――……そんな感覚に捕らわれては、息を飲む。

空気を体の中に取り入れ、やっとそこで身体の痛みが幾分和らいでいることに気がついた。


あれからどのくらい経つのだろうか。

勿論、まだ完全に回復したとは言い切れないのだけれども、これなら上半身を起こすくらいできるんじゃないかな。

そう思って、ぐ、と体に力を入れる。


「いっ……!」


瞬間、激痛が傷口があるであろう場所から全身へと走り、呻き声を上げてしまう。


「い、……たい……!」


そう、口にしないと挫けてしまいそうになるくらいには。

なのに体を無理に起こそうとするのは。

……こうしてただ、天井を見ているだけなのが嫌だったから。


「っぐ……!」


息を止め、踏ん張る。

……そうしたところで、すっと襖が開いた。


「なっ……!朔!何してやがる、おめぇはまだ安静にしてなきゃならねぇんだ!」


驚きに目を見開き、慌てて部屋の中に入ってきたのは高杉さんだった。