うっすらと視界がぼやけて見えた。


身体の感覚がまるでなくて、自分は今どこにいるのか、どんな状況にいるのかわからない。

ただ、直前までの記憶はあった。


私は、後ろから襲い掛かってきた誰かに背中を斜めに斬られてしまったんだ。

もしかしてしんだのかもしれない。

いやだ、そんな、そんなこと。

せっかくこっちに来て、とても楽しかったんだ。


生きるのが楽しいって思えたんだから。


確かに私がここにいることはおかしいことかもしれないけれど、もう元の世界に戻らなければならないのかもしれないけれど。

もう少し生きてもいいじゃない、もう少しこの場所に居たっていいじゃない、ねぇ、神様。


そのまま、私はずるりと暗い暗い記憶のなかに引き込まれたようだった。

あぁいやだ、気持ち悪い。