はだかの王子さま


 聞き間違えようの無い声の方を、見れば、そこに。

 やっぱり、フェアリーランドから途中で抜けて来たようなお父さんが、いた。

 いつものツナギを着て。

 腰にいつものように、いろんな工具を下げてるベルトを釣り、その他に。

 ……なんだか映画でしか見たことのないような、剣を下げている。

 長さはそんなに無いけれど、鞘にきっちり刃が詰まっているなら。

 不自然なほど幅広で、剣って言うより盾みたいに見えるもの。

 ……こんなの、ふつう。

 アミューズメント・パークの遊具整備なんかに使わない、わよ……ね?

 普段見慣れたはずのものや人が、微妙に違うのが、なんか変で落ち着かない。

 手を伸ばして、星羅の顔を包み込むように触れば。

 星羅の琥珀色の瞳が、わたしを見つめた。



 ……どき。



 その顔は、やっぱり、キレイで。

 ……どこか寂しそうで。

 長く見つめていると、どうにかなっちゃいそうなほど恥ずかしかったけど。

 わたしは、照れるのを我慢して、なるべくちゃんとした声を出した。


「……説明して?」