はだかの王子さま

 
 今は、あまり行き来してないけれど。

 賢介は、小さい時はお兄ちゃんだか、弟だかの代わりだったんだ。

 そんな幼なじみの賢介が、大好きな星羅にこんなにふうに、頭を下げているのは、見たくないよ。

 しかも、なんだか良く判らないけれど、わたしがらみで、なんて!

「もう、顔上げてよ賢介!
 わたし、どこもケガとかしてないし!
 星羅も怒らないで?」

 照れちゃう所を頑張って。

 視線をあわせて、お願いすれば。

 いつもうんうん、って話を聞いてくれる星羅が、難しい顔をしている。

「ごめん。
 今日のこの時点で真衣にケガが無いのは、当たり前なんだ」

 これから、もっと大変なことが起こるはずだから。

 彼に真衣のことを任せたんだけど。

 まだ、何も起きていないのに、真衣に裸足で道を歩かせるなんて!

 そう、言った星羅に、割って入った声がある。

「俺からも、謝罪する。
 コイツの教育係りはこの俺だし。
 なんと言っても今回の護衛相手は、自分の娘だ。
 子飼いの中では、一番デキの良いヤツを選んだんだが」


 ……って、お父さんの声もする!?