お、怒ってる……!
星羅は、怒鳴ったり、叫んだりどころか。
大声一つ出してなんてしてないけど。
怒ってることが、良く判る。
普段、ふよふよ~~
にこにこ~~
なイメージの星羅が本当に怒ると、ぴしっと、空気が引き締まるみたい。
それを感じたのは、どうやらわたしだけでは、なさそうで。
その『頼まれた』らしい誰かが、両手をついて、深々と頭を下げているのが、わたしの目の端に見えた。
「面目次第もございません!」
え。
この声ってば、賢介じゃんっ!
謝っている相手を良く見ようと首を動かしたら。
そこには賢介が、バイト先から、そのまま抜けて来たみたいな格好で、地面にうずくまっているのが見えた。
薄い茶色の服に金ボタン。
フェアリーランドで、ポップコーンを売る時は、可愛いいコックさんみたいに見えたけど。
真っ白なエプロンを外した姿は、オモチャの兵隊……ううん。
もっと、リアルな、軍服に見える。
「ちょっと!
何してん……のよ」
人が、人の前でひざまずいているのを初めて見た……
……けど。
なんか、ヤダな。



