はだかの王子さま


 あ~~あ。

 なんかやだなぁ……

 深々とため息をついて、うなだれて。

 とぼとぼと、歩きはじめた、その時だった。

 ふわり、と。

 今度は、突然、わたしのカラダが浮いた。

「や、やだ~~!」

 お化けが、外までついて来た!?

 こういうモノって、お家限定とかって言うもんじゃないの!?

 そうじゃないやつってば。

 例えば。

 この前見たホラー映画では、主人公が逃げ出す寸前。

 道に面した郵便受けにかみつかれ、そのままお家にパクっと食べられてたし……

「きゃーーーっごめんなさいっっ!
 わたし、食べてもおいしくないです!
 だから放して~~!」

 とても強く、ぎゅっと抱きしめる何かから逃げようと、力一杯抵抗したその時だった。

「……衣! 真衣!!
 大丈夫だよ? 落ち付いて?」

 とても聞きなれた、ほっとする声に見上げれば……あった。

 人間(ヒューマンタイプ)星羅のキレイな顔。


 ……しかも、すごく近い。