はだかの王子さま

 

 わたしは叫び声を上げて、靴も履かずに家を飛び出した。

 ひ~~ん

 やだよ~~

 怖いよ~~

 こんなことなら、賢介と一緒に居た方がマシだったじゃないの!

 嫌だったけど!

 本当に、嫌だったけど!

「星羅の莫迦~~!」

 道まで飛び出して、星羅に八つ当たりで叫んで、どうしようか、と途方にくれた。

 ケイタイもお財布も、お家の中で。

 しかも、裸足だし……。

 ……やっぱり、賢介ん家……行くしかないかなぁ?

 賢介ん所なら、遠くないし、小さな時から家族ごとのお付き合いがある。

 出張が多いおじさんの方はともかく。

 おばさんの方は良く知ってるし……

 裸足で飛び込んでも、他のどこへ行くよりも大騒ぎにならない……よね?

 そして、多分。

 幽霊が出た!

 ってわたしが騒いでも、ちゃんと真面目に聞いてくれるだろう。

 賢介が、フェアリ―ランドでアルバイトしているだけじゃない。

 彼のお父さんも……キングダム・リゾートの従業員だから。

 確か……

 う~~んと、ウチのお父さんと組んで、最新遊具を海外に買い付けに行くヒトだったっけ?

 最近、ちょっと体調を崩してるお母さんも前は、フェアリーランドのレストランにいたはずだった。

 ……だから『お化け』がキングダム・リゾートの住人だったら。

 その正体も、教えてくれるかもしれない。



 でも全く、なんの解決にもならないけど!