はだかの王子さま

 
 ……見間違い、かと思った。

 けれども、それは。

 わたしの見ている前で確かに動き出し……

 しゅわわわ~~と泡を吹き、円を描いて床をこすってた。

「な、何これ……!」

 びっくりして、もう一歩下がると。

 腰にがたん、とぶつかったのは洗濯機だ。

 と。

 ぶつかった勢いが、強かったのか。

 洗濯機は、ぱかっと口を開け……

 それに向かって、ひとりでに空に浮いた洗濯籠が、どさどさどさ、と洗濯物を放り込んだ。

「……!」

 その次に続いて、洗濯石鹸と、柔軟剤 がふわふわ浮き出すにあたり。

 わたしは、後ろも見ずに飛び出した。



 きゃ~~!

 お、お化け~~!



 も~~

 弱虫、とか。

 彼氏が狼さんだってのに、今更、お化けってナニ?

 とか言わないでね!?

 獣タイプの時の星羅みたいに、多少(?)外見が普通のヒトとは違っても。

 触れるし、肌同士がくっついて、あったかければ、大丈夫なんだけど。

 幽霊は、ダメだ。

 ヒト(?)を外見で測る気は、ないんだけど。

 恨みとか、怨霊とかもさることながら。

 見えないのに側に居るとか。

 ストーカーっぽい所が生理的にダメ~~