『王妃は、自分の娘を殺しに来た、かつての恋人であり。
当時グラウェ管理の役目を一緒に担っていた、間抜けな剣士の情に訴え、娘の命乞いに成功した』
……間抜けな剣士って、きっと、フルメタル・ファング(おとうさん)のことだ。
『フルメタル・ファングは予言の力は無くとも、王室書庫の中身を誰よりもよく知っていたのだ。
覇王が実際に出現したら世界がどうなるか、判っていたはずだ。
なのに。
そなたはその危険な娘を殺さず、命を助け、姿と身分を変えて、自分の子どもとして養育することに決めた。
なぜだ?』
王さまは、ここで一旦話を切ると、イヤな目つきでお父さんを見た。
『それは、身分の差で手に入れられなかった、かつての恋人、王妃の代わりにその血をひいた娘を愛するつもりだったからではないか?
死んだはずの娘に身分などなく。
幼いうちから自分の好みの女になるように仕込み、育てれば。
誰にも邪魔をされず。
かつて火がついたように愛し、いくら時が過ぎても忘れられないひとを超える女になると思ったか?』
『……』
お父さんは、恐ろしいほど真剣な顔をしたまま、なにも喋らない。
そんな様子を見て、王さまはふふん、と鼻を鳴らした。
『我らは長く、若く生きる。
百年の年の差などあって、無いようなものだ。
ビッグワールドでは、よくある、別に大したことのない恋の形だが。
そなたの場合は、相手が悪かったな。
娘の覇王の力を力を封じて五年間。
上手く隠しおおせておったようだが、ほころびが出た。
……こちらに通ずる大扉、だ』
そう言って、意味深に表情をゆがめる、王さまの話をまとめると、こうだ。
……そもそも。
万能エネルギーグラウェの安定供給のために、定期的に開き、かつ、なるべく大きなこちらに続く扉が欲しかった。
そこで、魔剣0の所有者の役目として、お父さんが、異界の壁を切り開くことになったんだけど。
その、開いた壁が、自分で予測していた大きさよりも何倍も大きく切れてしまったらしい。
世間は、さすが門番の家系のフルメタル家当主の力、と称賛し。
魔剣0でさえ、自分の所有者と相性の良さに満足していたけれど……お父さんは気がついた。
当時グラウェ管理の役目を一緒に担っていた、間抜けな剣士の情に訴え、娘の命乞いに成功した』
……間抜けな剣士って、きっと、フルメタル・ファング(おとうさん)のことだ。
『フルメタル・ファングは予言の力は無くとも、王室書庫の中身を誰よりもよく知っていたのだ。
覇王が実際に出現したら世界がどうなるか、判っていたはずだ。
なのに。
そなたはその危険な娘を殺さず、命を助け、姿と身分を変えて、自分の子どもとして養育することに決めた。
なぜだ?』
王さまは、ここで一旦話を切ると、イヤな目つきでお父さんを見た。
『それは、身分の差で手に入れられなかった、かつての恋人、王妃の代わりにその血をひいた娘を愛するつもりだったからではないか?
死んだはずの娘に身分などなく。
幼いうちから自分の好みの女になるように仕込み、育てれば。
誰にも邪魔をされず。
かつて火がついたように愛し、いくら時が過ぎても忘れられないひとを超える女になると思ったか?』
『……』
お父さんは、恐ろしいほど真剣な顔をしたまま、なにも喋らない。
そんな様子を見て、王さまはふふん、と鼻を鳴らした。
『我らは長く、若く生きる。
百年の年の差などあって、無いようなものだ。
ビッグワールドでは、よくある、別に大したことのない恋の形だが。
そなたの場合は、相手が悪かったな。
娘の覇王の力を力を封じて五年間。
上手く隠しおおせておったようだが、ほころびが出た。
……こちらに通ずる大扉、だ』
そう言って、意味深に表情をゆがめる、王さまの話をまとめると、こうだ。
……そもそも。
万能エネルギーグラウェの安定供給のために、定期的に開き、かつ、なるべく大きなこちらに続く扉が欲しかった。
そこで、魔剣0の所有者の役目として、お父さんが、異界の壁を切り開くことになったんだけど。
その、開いた壁が、自分で予測していた大きさよりも何倍も大きく切れてしまったらしい。
世間は、さすが門番の家系のフルメタル家当主の力、と称賛し。
魔剣0でさえ、自分の所有者と相性の良さに満足していたけれど……お父さんは気がついた。



