はだかの王子さま

 しっかり握りしめた、王さまの手は、固く、振りほどけない上。

 人目がなくなったからか、そのカラダごとわたしに近寄った。

 そして、ぎしり、と音を立てて、わたしが半身を起こしているベッドに自分も座り。

 そして、ささやく。

『そなたは……本当に、ゼギアスフェルのヴェリネルラか?』

『そうよ! 星羅は、確かにそう呼んでくれたもの!』

 何か気がついたらしい。

 王さまの質問に素直に答えることは、とても怖かったけれども。

 譲れない答えを叫ぶわたしに、王さまは、笑った。

『ナイトウマイに、ゼギアスフェルは、似合わない』

『そ、そんなの知ってるもん! 
 こっち側だって、今売り出し中のコスチュームデザイナーさんと、ただの女子高生(コドモ)だし!
 ビッグワールドにおいては、もっと差のある、王子さまと、ただのヒトだし!』

 今、なんか、一時的にものすごい顔になっているけれど!

 たぶん、コレ、ウソだ。

 万が一、これがずっと続いてくれたとしても。

 中身が全然合わないなんて、わざわざ言ってくれなくたって知ってるよ……っ!

 でも……!

『でも、好き、なんだから仕方ないじゃないの……』

 意地悪なんて、言わないでよ……!

 握りしめられた手を外す努力をしながら、改めて泣きそうになれば、王さまが、更に迫ってやって来た。

『ナイトウマイ!
 そなたは、何か勘違いをしている』

『……え?』

『ゼギアスフェルの方がそなたには、不足なのだ。
 あれも、我が弟。
 現在第一王位継承権を持っているが、所詮、正妻を、王族ではなく、臣下から選ばねばならない身の上だ』

 そう、莫迦にしたようにささやくと、王さまは、言葉を続けた。