はだかの王子さま

『やっ……!
 星羅じゃないと……やだ……!』

『なに! セイラ!?』

 わたしが抵抗して、頑張って叫べば、王さまはソドニをぐい、と睨み。睨まれたソドニはあわあわと手を振った。

『私も一応『セイラムド・フォン・ソドニキュラエス(世界を滅ぼす覇王の盾)』ですが、違いますからね!
 ゼギアスフェルさまの事ですよ!
 やっぱり、この方が本当のゼギアスフェルさまのヴェリネルラなのではありませんか?』

『なんだと……!
 この女(ひと)が既にゼギアスフェルのものだと……!』

『私には、今まで見覚えのない娘ですが、フルメタル家が関わっています。
 フルメタル・ファングは、ビッグワールドを背任罪で追放されるとき、娘を一人連れて行ったのは確かなのです。
 本人の言う通り、ファングの娘でしたらこちらの方が、本命かもしれません!』

 王さまは、必死に叫ぶソドニを険悪な目で睨みつけ……ふ……と考え込んだ。

『見覚えがない……か。
 この娘の顔つきに昔、王家の一族だったフルメタル家の特徴はないこともない。
 もしかしたら、ある程度血を飲めば、変身する能力ぐらいあるのではないか?
 しかし、この娘の直接の両親がフルメタル家の誰か、というには血筋的に遠い気がする。
 この娘の顔は、フルメタル家と言うよりも、むしろ……』

『それを言うなら、新当主のローザさまだって、フルメタル家の顔つきではありません!
 あの家にはあの家のご事情があるのでしょう!?
 ですから、そこら辺りのご事情を、ファングさまにお聞きし、はっきりさせないと……と王よ?
 いかがなされました?』

 急に黙りこんだ王は、わたしの両手をつかんで、ぐぃと引き寄せ、しげしげとわたしの顔を見……そして、突然。


 げらげらと大声で笑い出した。