はだかの王子さま

『フルメタル・ローザは、ゼギアスフェルのヴェリネルラなのだろう?
 ならば、手つかずで帰せば、ゼギアスフェルも喜べばこそ、怒(いか)ることでもあるまいに』

『しかし!』

『うるさい! ソドニ!』

 王さまは、怒鳴って、そっとわたしの手を取った。

『この娘は美しい。
 この女(ひと)以外、我はもう誰もいらない』

 言ってそのまま。

 王さまは、わたしの唇に自分の唇を寄せようとして来た。

『美しい、そなた。
 窓辺に倒れ、眠っていたそなたを初めて見てから、我は、どこかおかしいのだ。
 我は、そなたしか見たくない。
 けれども、じっと見つめていると、胸の奥が痛むのだ。
 心が変にざわめいてそなたしか、欲しくない……と……思う』


 ……って! ち、ちょっと!


『ま、待ってください!
 あなたは、今さっき……っ!
 わたしが、望まない限り変なコトはしないって……っ!』

 意味、良く判らないけど『無体なコト』つてつまり、そう言うコトじゃなかったっけ……!?

 もちろん、わたしは星羅以外の誰にも触られたくなくて!

 王さまが取った手を無理やりほどくと、胸を、顔をぐいぐい押した。

 けれども、王さまはけろりと笑う。

『なに、口づけぐらいよかろう?
 そなたの、花弁よりも繊細な唇の味を、我に確かめさせてくれるだけでよい』


 ~~だけでよいってなによ~~


 わたし、まだ!

 星羅とちゃんとキスしてないのに!

 こんなところで! こんなヒトとキスなんてしたくないもん!



 大問題よ……っ!