あれ……?

 救急車のサイレンの音がする。

 どっか近くで交通事故でもあったのかしら……?



 そう、ぼんやりと思っていた、直後だった。

「……ちゃん! 真衣ちゃん!
 大丈夫!? しっかりして!!」


 ……へっ!? わたし!?


 名前を呼ばれて、一気に視界が開けた。

 最初に目に映ったのは、心配そうな顔。

 目尻が優しげに下がった、中年のおばさん……は、良く知ってる人。

 賢介のお母さん……?

 ここのところずっと身体の調子を崩してて、おばさんが外に出てるの、ニ、三年ぶりかに見たけど……

 今日は、外に出ても大丈夫なのかな……?

 ちょっと心配なその後ろに、ウチのご近所さんが取り囲んでいるのが見える。

 ……こちらの方は、わたしが心配、って言うよりは野次馬の人だかりみたい。

「えっ……と。
 わたし……どうしたんだっけ……?」

 なんでわたし、賢介のお母さんに抱きかかえられて、寝転がってる……のかな?

 まだ変な夢を見てる途中みたい。

 ぼんやり辺りを見回せば……ここは、外だね。

 そして、視界の隅っこには、盛大に壊れた自分の家が見えた。

 玄関の真横に大きな穴が開いて、細かいホコリがぱらぱらと落ちてる……って!



「そ、そうだ! 星羅……っ!」