『それから、だいたい八千年過ぎた、今から二千年と少し前の話だ。
『死んだ』はずの覇王の剣に、復活の儀式が施された。
 それで蘇ったのが、俺様だ』

「なんで、死んだはずの剣を、蘇えさせるようなマネをしたの?」

『別世界に詰め込んで、効率良く採取していたはずの『グラウェ』が、ビッグワールドでも、切れかけて来た』

「……え」

『ビッグワールドの住人たちも莫迦じゃねぇ。
 一万年前に比べれば、だいぶ節約して使うようになったが、グラウェは、唯一無二の万能エネルギーだからな。
 他のエネルギーに変えようにも、大陸を、地球から引っ剥がして来た以上。
 こっち側で普通に使っている化石燃料は、ほとんどねぇ
 新たなグラウェの供給場所を探しているうちに。
 元の地球に、ビッグワールドよりも濃く、グラウェが、存在しているのが判ったんだ』

 なにしろ、グラウェの使い手は、こぞってビッグワールドに移住したから。

 僅かに残った地球の泉が、グラウェを吹き出していても、使う者は、皆無だった。

 だから、八千年のうちに、濃くなったらしい。

『ビッグワールドの人間は、地球のグラウェを奪うために、俺様を……覇王の剣を甦らせたんだ』

「それって……ずいぶん。
 向こう側の……ビッグワールドのヒトビトって自分勝手じゃない?」