はだかの王子さま

 そんなわたしの主張を、0は、尻尾をぱたぱた振って却下した。

『自分の理解を超えているモノは、信じない上。
 例え、真実が目の前にあっても、自分の判る範囲に事実を曲げて、判ったふりをするってぇ。
 ソコが、こっちの世界に住んでいる人間の悪ぃ所だ』

「だって!」

『確かに、この話は今となっては、伝説だし、信じらんねぇ話だ。
 しかも、俺様の、とはいえ。
『完全体』の前世の話だから、具体的にどうやったのか、ってぇ記憶もねぇ。
 ただ、言えることは、覇王が、剣を振るって、大陸をぶった切ったもんだから。
 えぐれた部分に、海水が溜まり、海抜を下げ。
 沈んでいた平地や島が海底から出現し、今の地球の世界地図になった』

 0は、淡々としゃべってたけれど。

 ソレ、なんだか、すごくイヤ!

 ヴェリネルラも、やっぱりこっち側の人間なんだな、と言われたんだもん。

 ますます広がってゆく星羅との距離が、悲しいよ。

 そんなわたしの思いを、きっと、0は知らずに、言葉を続けた。

 世界がふたつに分かたれたあと。

 どれくらいの時間が経ったか判らないが、やがて覇王の命は、つき。

 剣もまた、魂を失って、抜けガラだけが神殿の祭壇に祀られた。

 ……と。