はだかの王子さま

 そう言って、星羅は、ようやく腕組みを解いた。

「僕だって、好きな人と一緒に生きたいと思う以上。
 利害の一致が、あるのは認めるよ。
 だけど、僕に欲しいのは、数日で簡単にバレるウソじゃなく。
 あと百年は幸せでいられる真実なんだ」

 星羅は、子犬と視線を合わせるために、片膝をついて、0の瞳を覗き込んだ。

「僕は、おとぎ話でも伝説でもない『覇王』の『真実』が知りたい。
 そして、僕自身に何が起きて……これから、どうなってしまうのか、ちゃんと聞きたいんだ」

『ふ……ふん!』

 0は、鼻を鳴らすと、星羅から一歩、飛ぶように離れた。

『現時点で、覇王が現れてなく。
 今、とりあえず。
 世界が滅んでない以上、俺様だって、伝説と推測じゃないと、話はできねぇぜ?
 なにしろ、話が古い上に、デカ過ぎる。
 それでも、聞きてぇか?』

「「それは、もちろん!!」」

 重なった、わたしと星羅の声に0は、頷くと。

 更に星羅から離れて、きちんと座り、話をし出した。

『俺様の知っている話は、こうだ。
 むかし、むかし。
 だいたい、一万年以上前。
『世界』は、こちらの世界とビッグワールドは、ひとつづき、だったらしい……』