はだかの王子さま

『そもそも、夜中にそいつが、キッチンに水を飲みに来たのが、間違いだったんだ!
 熱で弱っている上に、俺様をコップと間違えて、触って行きやがったから、融合なんぞしちまったんだ!
 せっかく元に戻った以上。
 融合のことは誰にもしゃべらず。
 金輪際、互いが触れ合わねえようにすれば、誤魔化すことができる!』

 ウソだ。

 0は、大丈夫だと言い切ったけれど、そんなの無理!

 わたしにだって、判るぐらいだもん。

 星羅の方も同じみたいだ。

 彼は、子犬に向かって、呆れたようにため息をついてた。

「そのプランで、秘密が守られるのは。
 せいぜい、ニ、三日がいい所じゃないかな?
 例え、僕と真衣。
 そして、君が口を閉ざしたとしても……」

『なんでだよ!』

「ここに居るのは、僕たち三人だけじゃないからさ。
 ……真衣は、何ひき。
 おしゃべり好きのゴブリンが、この家に同居してるか知ってる?」

 うう。

 そう言えば、お父さん、言ってたっけ。

「……ニ十ぴき?」

「当たり。
 そのなかの一ぴきでも、蒼い髪を見てたら。
 少なくともフルメタル・ファングには、しゃべるだろうね」

 星羅は、わたしに頷いて、それから0を見た。

「僕たちが早急にやらなくちゃいけないのは、事態を隠すことじゃなく『解決』だよ、0?」