はだかの王子さま

『ふん!
 フルメタル・ファングのヴェリネルラをみすみす、てめーにひっつけるのは、不本意だが、仕方ねぇ。
 俺様も、フルメタル・ファングと一緒にいたい。
 そして、ファングも、てめーも、王には向かない。
 剣になっても、覇王になっても、当事者は全員大不幸じゃねぇか?』

「う……うん」

 わたしが思わず頷くと、0も赤く輝く目を細めた。

『そんじゃあ、利害は、一致だな。
 この朝のコトは、全部、なかったことにしようぜ』


 ……は?


 無かったことって、ナニ!

 わたしだって、星羅が名前の通り、剣になんてなっちゃったり、お父さんも変わっちゃったら困るけど!

 明らかに、星羅は、蒼のセイラに変わったよね!?

 それなのに!

「何も無かったことに……できる……ものなの?」

 恐る恐る聞いたわたしに、0は、案外軽く言った。

『今朝起きたことは、他言無用。
 そして、これから先。
 俺様とそいつが、半径1メートル以上、近づかなきゃ、良いんだよ!』

 そんなことで、いいの?

 だいぶ大ざっぱ過ぎないんだろうか?

 首を傾げるわたしに、0が吠えた。

『あ、てめー、今。
 こんなので大丈夫かと思ったろう!?』

「そ……そりゃあ、ねぇ」