はだかの王子さま

『なんだ、てめーの方でも、記憶が無くなるのか!
 じゃあ、俺様達を乗っ取ったヤツって誰なんだよ!
 ありえねーぜ!』

 0は、首をぶんぶん振った。

『もう、二度と融合なんざ、しねぇよ!
 俺様の方でも、てめーと、一つになりゃ、記憶が失われるんだ!
 こちとら、二千年以上は生きて来た、歴史とプライドがある!
 融合なんざして、全部忘れてたまるか!
 しかも、あんな!
 女だったら、誰にでも手を出す、下品なエロ男になるなんて、まっぴら御免だ!』

 0は、怒鳴ると、イライラと尻尾を振った。

『今まで、気配も無かったはずなのに。
 なぜ今日、いきなり、てめーと俺様が融合したのかは、本当の所は、わからねぇ』

 0は、そう言った上で、言葉を続けた。

『多分、フルメタル・ファングがてめーを噛んで弱った所に、俺様がいたのが、原因だ。
 覇王と剣は、なんでも切れるはずの俺様でさえ、切れねぇ因果関係がある。
 覇王が剣を一つにし、剣が覇王を目覚めさせるんだ』

 俺様達二人が融合した状態で素肌に触れば、覇王は、目覚める。

 そのきっかけを作ったのがフルメタル・ファングなら。

 ヤツは確実に『覇王』だ、と0は、言ったけれど。

 星羅の方は、難しい顔をして黙ったままだった。