はだかの王子さま

『おとぎ話?
 冗談じゃねぇ!
 俺様は、実在の剣だってぇの!』

 伝説の『覇王』が持つべき剣はその本当の切れ味ときたら、半端なく。

 剣を頭から支配して、完全に制御出来るのは、覇王本人しかいないらしい。

 だから、覇王が不在の間。

 偉大な魔法使いが『剣』を覇王以外にも使えるように、二つに裂いて行ったんだそうだ。

 そして、一つを剣と獣の姿で、そのまま留め。

 もう一つは『ヒト』の輪廻の輪の中に落ちた。

 獣と剣の姿を持ち。

 長い、長い間、覇王を待って、主(あるじ)を変え、魔剣として存在続けたのが『0』。

 そして。

 ヒトの部分が、星羅……!?

『もう片方は、どこかで、ヒトに生まれ変わって、普通に暮らし。
 適当に年とって死に、また、生まれ変わる、を繰り返しているのは知ってたが、途中で見失っちまったからな。
 ここ、千年ほど、行方不明だったんだ』

「行方不明って!
 別に、星羅と0さん、今日が初対面じゃないでしょう!?
 なんで今まで、気がつかなかったの!?
 セイラムド・フォン・ゼギアスフェル、なんて。
 世界を滅ぼす覇王の剣、なんて。
 名前を聞いてすぐ判らなかったの?」