はだかの王子さま

「本当に……0……さん……なの!?」

『なんだよ!』

 思わず言ったわたしの声にすぐ反応して、子犬ちゃんの目が開く。

 瞳が、赤い!!

「さっきの……蒼のセイラの目……だ……!」

『あたりまえだろ!
 さっきのは、半分俺様なんだからな!』

『魔犬』0は、まるで、バネ仕掛けのオモチャみたいにぴょこっ、と立つと。

 短い四本足を踏ん張り、ふさふさしっぽをぴんと立てて、わたしを見た。

 か……かわいい……

 なんか、見てるだけで、イヤなコトとか、全~~部、忘れちゃいそうな、癒し系だよね?

 なのに、こんなのが、最強最悪の魔剣、0……?

 しかも。

「さっきの蒼いセイラが、半分0さんって、どういうこと……!?」

 驚いているわたしを、0はぐい、と睨んだ。

『世界を滅ぼす覇王の剣ってのは、本当は、俺様のことなんだからな!』

「……えっ?」

『俺様は0!
 この世にあるモノ全てを斬り裂く剣だ!
 世界を破滅させる覇王が持つには、最もふさわしい剣だろ?』

 そうかもしれないけど!

「覇王の剣って、伝説とかおとぎ話の類じゃなく、本当にあるんだ……」

『ふん!』

 0は気を悪くしたように、鼻から息を吐いた。