しゃべる時の口調と髪の色以外。

 声と、見える範囲の全部がヒューマンアウトした星羅そのものだったから。

 もしかして、この『蒼のセイラ』は。

 本当は、わたしの良く知ってる『金髪の星羅』じゃないかと思っていたのに。

 このひとは、違う……!

 昨日の夕方遅く。

 わたしは、見たはずだった。

 賢介がお父さんの姿に変わるのを。

 そして、お父さんが、金髪の星羅に変わるのを。

 例え、外見がそっくり同じでも、中身が違うことが、この世界には、あるんだ……!

 だから、このヒト、星羅じゃない!

 そして、星羅以外とラブラブな、甘い関係になんて、なりたくもないわよ!

 欲情?

 星羅じゃないのに絶対、し~て~な~い!

 わたしは、後ろから抱きしめている蒼のセイラから逃げ出すために力を込めた。

「あなた、星羅じゃないわ!
 放してよ!」

「ふふん、どうして、このオレが『セイラじゃない』と言い張るんだ?」

「だって……っ!
 星羅なら、そんな変なこと言わないもん!」

 わたしを抱きしめる強い腕を、なんとか振りほどこうと叫べば、星羅は喉の奥で笑った。