声は、星羅のまま、口調も言っていることも変だ。

 イヤな予感にクビをひねり、後ろを振り返って確認したモノは。

 見えなかった顔の代わりに見えた……髪の色。

 星の光を集めて作ったような、薄い金に色とりどりのメッシュの入った、星羅の髪じゃない!

 アイス・ブルーって言うのかな?

 限りなく白に近い銀色で、光の加減によって、蒼く見える、氷山のような不思議な色だ。

 そんな、見覚え無い色の長い髪が、確かに星羅が眠ってたはずの、リビングのソファベッドに散っていた。

 長さだけは同じでも、絶対ヒューマンアウトした星羅じゃない!

 きゃーー!

 と、あげたわたしの悲鳴は、アイス・ブルーの髪の男が、手でふさぎ。

 その手をわたしは噛みついた。

「……っ、痛て!
 跡が残るほど噛みやがって!
 凶悪な猫みたいな女だな」

「あなた、誰!?
 星羅はどこ!
 放してよ!!」

 口は、離れたけれど。

 男は、逃げ出そうと暴れるわたしのカラダを、放そうとはしなかった。

 相変わらず、後ろから、のまま。

 かえって更に強く抱きしめると、耳元でささやく。

「騒いでも無駄だ。
 ここには、オレ達しかいないし、家の周りには蜘蛛が糸を張ってったろ?
 声は漏れないぜ。
 それにオレが『セイラ』だ」

「ウソ!」