このまま時が経つのを待って、忘れてしまおうと何度も思った。その方が絶対にいいはずだと……。
 そうしなければ、その先自分がどうなっていくか容易に想像出来た。
 けれど、そう思えば思うほど、美緒の目は坂井を追う。
 そして、ある出来事をきっかけに、美緒は自分でも思わなかったことを考えるようになった。
 ――賭けをしようと。
 そして、もしこの賭けに勝ったら、いや、必ず勝つ。
 そして、その先に待っているゲームに彼は必ず乗ってくる。
 美緒はそんな坂井に惹かれたのだ。

 坂井の持つ、彼の……大人のずるさに――