*心陽Side


「いちのせ、こ、はる…っと」
キュッキュっという音を立てて黒マジックを動かす。



「先生、ありがとうございましたぁあ!」
「おう、もう教科書無くすなよ?予備はもうないんだから」
「はぁい、大事に使います!」


職員室のドアまで来てからもう一度振り向く
「失礼しましたーあ!」


{一之瀬心陽}と私の字で書かれた教科書を
両手で握りしめて職員室を出た。

急がなきゃ。