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彼の甲斐性とは、まったくもって違うカナタにあるものを。
笑顔なんて、誰でも出すことが出来て、1円もかからないスマイルというものなのだ。
そんな、どこにでもはいて捨てるようなものを、どうしてわざわざお願いなんて。
は。
己を振り返れば、そんなことを言えるハズもなかった。
これまで、何度彼女の前で笑顔を見せたというのか。
思い出しても、一番最初の出会いの『水割り爆笑事件』辺り以外では、まったくなかったような気がした。
ということは、自分はいつもメイの前で仏頂面だったり、怒鳴ったりと、そんな表情しかしていなかったのである。
そんな男と、よくも結婚してくれる気になったものだ。
それじゃあ、ここで笑顔を一つ。
しかし。
そんな器用なことが出来る男なら、もっとうまく彼女と幸せを掴めていたハズだ。
カイトは、イヤな汗をだらだらとかいた。
メイが望むのなら、笑顔の一つや二つをプレゼントしたかった。
しかし、かしこまって出せと言われても出るものではないのだ。
特に彼の笑顔とやらは。
その上、期待に満ちた目が自分を見ている。
期待に応えられるような笑顔を、自分は出せるのか。
メイの、あの太陽のような笑顔を見た後で、だ。
頭の中を、ぐるぐると、『期待と失望』、『甲斐性と人間性』、『プライドと愛』などという言葉が巡っていく。
熱が出て倒れそうなくらい、頭の中は大変な騒ぎだった。
「ダメ?」
見上げてくる、お願いの目。
絶体―― 絶命のピンチだった。
--終--
彼の甲斐性とは、まったくもって違うカナタにあるものを。
笑顔なんて、誰でも出すことが出来て、1円もかからないスマイルというものなのだ。
そんな、どこにでもはいて捨てるようなものを、どうしてわざわざお願いなんて。
は。
己を振り返れば、そんなことを言えるハズもなかった。
これまで、何度彼女の前で笑顔を見せたというのか。
思い出しても、一番最初の出会いの『水割り爆笑事件』辺り以外では、まったくなかったような気がした。
ということは、自分はいつもメイの前で仏頂面だったり、怒鳴ったりと、そんな表情しかしていなかったのである。
そんな男と、よくも結婚してくれる気になったものだ。
それじゃあ、ここで笑顔を一つ。
しかし。
そんな器用なことが出来る男なら、もっとうまく彼女と幸せを掴めていたハズだ。
カイトは、イヤな汗をだらだらとかいた。
メイが望むのなら、笑顔の一つや二つをプレゼントしたかった。
しかし、かしこまって出せと言われても出るものではないのだ。
特に彼の笑顔とやらは。
その上、期待に満ちた目が自分を見ている。
期待に応えられるような笑顔を、自分は出せるのか。
メイの、あの太陽のような笑顔を見た後で、だ。
頭の中を、ぐるぐると、『期待と失望』、『甲斐性と人間性』、『プライドと愛』などという言葉が巡っていく。
熱が出て倒れそうなくらい、頭の中は大変な騒ぎだった。
「ダメ?」
見上げてくる、お願いの目。
絶体―― 絶命のピンチだった。
--終--



