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こっぱずかしい表現かもしれないが、本当にカイトはそう思ったのだ。
いまが冬だということを忘れさせるような、ちょっと暑い初夏のような笑顔である。
欠けることなく、明るく高い温度を持っている球体。
反射的に、カイトはそれに目を細めてしまう。
「あぁ…」
目を彼女に奪われたまま、それだけを口にした。
メイの目も細くなる。
給湯器のスイッチを切って、改めて振り返った瞳を細めて。
「ありがとう、すごく、すごーく嬉しかったの…本当にありがとう」
そんなお礼を言うのだ。
一瞬、カイトの胸に昔がよぎった。
助けてくれてありがとう。
そういう響きを持つものだ。
あの頃は、彼女に感謝なんかされたくなかった。
あんな上下関係を、溝を、壁を、はっきり見せつけられるような感謝なんて、本当に大嫌いだったのだ。
そうか。
カイトは思った。
こんな感謝もあるのか、と。
嬉しくてしょうがなくてあふれ出た感謝の声と、昔の言葉が―― 比較になるはずもなかった。
「礼なんていい…」
夫婦になったのだ。
短絡的に言えば、もう何もかも2人の持ち物なのである。
家も金も、お互いの存在さえも。
だから、たとえ声音や言葉が昔と違ったとしても、お礼なんて必要なかった。
「ううん! すごく嬉しかった、すごくありがとう!」
興奮していたのか。
彼女は、妙な言葉になった。
『すごくありがとう』
妙だが、メイらしい言葉のように思える。
それで、カイトはクッと笑ってしまった。
こっぱずかしい表現かもしれないが、本当にカイトはそう思ったのだ。
いまが冬だということを忘れさせるような、ちょっと暑い初夏のような笑顔である。
欠けることなく、明るく高い温度を持っている球体。
反射的に、カイトはそれに目を細めてしまう。
「あぁ…」
目を彼女に奪われたまま、それだけを口にした。
メイの目も細くなる。
給湯器のスイッチを切って、改めて振り返った瞳を細めて。
「ありがとう、すごく、すごーく嬉しかったの…本当にありがとう」
そんなお礼を言うのだ。
一瞬、カイトの胸に昔がよぎった。
助けてくれてありがとう。
そういう響きを持つものだ。
あの頃は、彼女に感謝なんかされたくなかった。
あんな上下関係を、溝を、壁を、はっきり見せつけられるような感謝なんて、本当に大嫌いだったのだ。
そうか。
カイトは思った。
こんな感謝もあるのか、と。
嬉しくてしょうがなくてあふれ出た感謝の声と、昔の言葉が―― 比較になるはずもなかった。
「礼なんていい…」
夫婦になったのだ。
短絡的に言えば、もう何もかも2人の持ち物なのである。
家も金も、お互いの存在さえも。
だから、たとえ声音や言葉が昔と違ったとしても、お礼なんて必要なかった。
「ううん! すごく嬉しかった、すごくありがとう!」
興奮していたのか。
彼女は、妙な言葉になった。
『すごくありがとう』
妙だが、メイらしい言葉のように思える。
それで、カイトはクッと笑ってしまった。



