『なぁ、オレ大人になったらアイドルになりたいんだ』 満開の桜の木の枝にぶらさがり、 「千李」は言う。 『千李じゃ無理だよ』 私の冷たい台詞に、 千李はくすっと笑った。 『いーや、オレならなれる!!』 『その根拠の無い自信、 ドコから来るのよ』 『夢は願えば叶うって決まってんだよ』 話が噛み合ってない、 と私は千李を叱る。 ヤツはいつもそうだ。 人の話なんて聞きやしない。