――夜、8時
あれから放課後、家に帰ってきて自分の部屋にとじこもり考える。
まさか、親友と好きな人が被るなんて。
前に、そんな話をしたことがある。
中学でも、今と同様メガネにロングな黒髪を二つに束ねて、いわゆる“地味子”だった私とは正反対に、
フワフワの少しウェーブがかかった栗色の髪に、くりくりした大きな瞳、ぷっくりした桜色の唇。
まさに美少女という言葉がぴったりだった美香。
それだけあって、クラスの女子には、「何であの子と一緒にいんの?」と美香が言われてた事がある。
でも、美香は「だって親友だから…」って答えてくれた。
本当に優しい子なんだ。
まだ、お互い恋愛してないときは、「友達と好きな人被ったら嫌だよね」と、人事のように話してたのに。
まさか、それが現実になるなんて。
思っても見なかった。

