「心菜、可愛いもん!彼氏がいない訳ないじゃん」


江藤くんに向かって、菊香がそう言った


「いるの?」


菊香を無視して、私に聞いてくる江藤くん


「うん」

「…そっか」


私が頷くと、江藤くんは項垂れた

これで、諦めてくれるかな?
っと思ったが…


「でも、俺…諦めないから。雨宮を絶対振り向かせるから!」


それだけ宣言して、江藤くんは席に戻って行った


「江藤も粘るねぇ…相手が王子だとも知らずに…気の毒なヤツだ」


去っていった江藤くんを見ながら菊香は言った

江藤くんには悪いけど…
私の気持ちが江藤くんに向くことは無い

いつの間にか、はめられていた指輪を触りながら、そう思った