「…ヒカリ」
荒い呼吸が目の前を過ぎて、耳に浸透する音。
「見て」
突き出された真っ青な皮膚と。
「…、橘」
労るような声がその体を背中から支えているようだった。
纏っていただけの白い布を剥ぎ落とした、剥き出しの肉体は。
赤い鎖が這う青ざめた皮膚はおぞましいほど生々しくて。
とくとくと呼吸している心臓の位置が、あからさまに上下に動いている。
その位置に走る、痛ましく鮮明な、赤い跡が。
「み、ち」
それがなにか理解した途端、喉がからからに干上がった。
裸体を曝し出した倫子の表情が、あまりにも静かで。
蚯蚓が這ったように無数に蠢く赤い線は、ひとりの人間を様々な材料で縫い合わせた人形のように見せていた。
たゆんだ皮膚、赤黒い傷と線、醜く焼け焦げた火傷の跡、心臓を封じるように走る、深い傷。
皮膚が漂白されたように青白く、陽の下でそれはあまりに不健康でありおぞましく、不気味な発光を続けていた。
個々を縫い合わされたように続くそれは、少し力を入れればバラバラにちぎれてしまいそうな程。
喉が、恐怖で痙攣した。


