「…隣の部屋のこども達は、なに」
身勝手にも俺達の間に隔たり感じて、思わず声が硬くなる。
それに気付いてか、倫子はゆっくりと身体を起こした。
「こども。私達の」
あっけらかんとそう口にした。
あれだけの人数――当然、それは事実ではないのだろう。
「…君と同じ荒野育ちの孤児達だよ。僕達は荒野をまわりながら、身寄りがない子を保護して一緒に暮らしてる」
雲雀が静かな声でそう続けた。
じわり、まるで一番いやな部分を触発されるような、感覚。
自ら聞いておきながら、聞きたくないようにも思う。
聞いてしまったら、「境」はよりはっきりしたものになってしまうのだ。
「…学舎の設備は充実しているけど、街のこどもの割合は全人口の十二パーセントしか占めていない。対して荒野では四十八パーセントのこども達が飢餓に苦しみながらも生きている」
「だから、荒野育ちの子ども達を引き取って、こうして育ててる。…という言い方は、おこがましいかなあ」
「橘の場合、遊んでもらってるものね」
のんびりと語るふたりを前に、俺は沸々と沸き上がる怒りを拳を握って我慢していた。


