「さて、行こうか」
青年に手を引かれながらも、夢の中を歩いているような感覚から抜け出せない。
こども達で溢れ反っていた広い部屋を抜けると、そこよりも狭いが充分に広い空間へと出た。
やはり白と金を基調とした、ドーム型天井の真下。
大きなガラス窓から注ぐ木漏れ日に包まれるなか、ソファに座る男と、彼の足許に横になっている女。
着ている服は違えど、その印象的な二人には見覚えがあった。
「倫子、雲雀…」
そこに居たのは、記憶が途切れる直前まで一緒に居たあのふたりだった。
懐かしさを呼び起こすように、渇いた空気が鼻を擽る。
「…おはよう、ヒカリ。良く寝てたね。まさか二日も昏睡状態に陥るなんて思わなかった。死んだのかと思ったよ」
雲雀があの荒野とは少し違う、無表情には違いないが、少しの微笑を込めてそう口にする。
それに見惚れながら、その言葉にはた、と思考が冴えた。
―――ふつか?
まさか自分は、二日も寝続けていたというのだろうか。


