(ここは…)
薄らぼやける視界には、なにやらアーチ型になった天井のようなものが見える。
その天井の真ん中を中心にして、羽の生えた赤ん坊の絵が美しい物語を綴るように描かれていた。
異様なまでの平和を象徴した、色彩すら穏やかに見せる絵画。
「…あ、おっきしてる!」
ぼんやりしていると、乳白色の視界に無邪気な顔をしたこどもが飛び出してきた。
俺と比べたってまだまだ小さいその子は、白いワンピースを着ていて随分と愛らしい。
村産まれじゃない。
身綺麗にした、恐らく「街」のこども。
「にいにー!!」
その子が部屋の隅に向かって力いっぱい叫んだ。
(…にいに?)
―――あぁ、頭がぐらぐらする。
(それに、なんだ、ここ、どこ、)
そのこどもが興味津々で俺を覗き込んでくるから、身体が許す限りゆっくりと上体を起こした。
定まらない意識で周りを見回す――見回して、愕然となる。
見たことも想像したこともないような広大な室内は乳白色一色で、ところどころに置かれた調度品は、正直初めて見るものばかりだ。白と金を基調にした、柔らかい印象の家具、そして先程見つめていた絵画は、ドーム型の天井に描かれたもの。


