『お前にちゃんと背中を見てもらえるように、父ちゃん頑張らないとなあ』
そう言って笑うのは、いつものことだった。
『お前は、俺のことを誇りに思ってくれるだろうか』
なに言ってんだよ、ばか。
あんたは頑張らなくたって、いつだって俺の一番の自慢だったんだ。
一番の、誇りだったんだ。
俺の何よりの後悔は、あんたを失ったことと、自分の弱さ。
俺にとってあんたは、「誇り」以外のなんでもなかったよ。
(…だから、もし天国があるなら)
笑っててくれよ、父ちゃん。
「―――…、」
薄い瞼の上に、柔らかな光が射していた。
それを感じて、呼吸(いき)を吹き返すように深呼吸をする。
優しい風の匂い。
汚染されていない、柔らかな光のなか。
(…どこだ、ここ)
見慣れない場所だ。
起き抜けの眼球を焦って動かそうとするが、脳はまだ眠っているのか俺の命令を無視しぼんやりと瞬きしただけで終わった。
身体が重い。
節々に熱が溜まっているような気すらする。


