(…ふたりとも、手慣れてる)
自分の何倍もある凶暴な男達の次の手を読み、捻じ伏せ、闘争心すら奪うように、徹底的に屈伏せさせる術を知っている。
喧嘩ではなく殺し合いを知る腕。
ばたばたと魔法のように男達は倒れていった。
異常なまでに動きまわるふたりは大して息も乱さず、倒れゆく男達を眺めている。
「…お、お前ら、まさか」
五人目が昏倒させられた時、頭領らしい男が呆然と声を上げた。
手には大振りのナイフを構えてはいるが、まるで小鬼のような雲雀と倫子を前にに脅えきっている。
「さ、最近、集落を廻り廻って、あちこちに草の種を植え付けてるっていう……」
その男の言葉に、は、と蘇ったのは、以前暮らしていた集落での噂だった。
『―――神様が現れたんだよ』
『古今東西、ある限りの集落を廻って、農作の仕方を教えているそうだ』
『病気持ちには薬を与え、医者を連れてきてくれるという話さ』
『小さく散らばっていた集落をひとつに纏め大きな町にして、生活を助け合うように諭すのだと』
『なんでも、ひとりは幻のように美しい人だというよ』
『…あぁ、私たちの村にも来てくれないかねぇ』


