―――けれど確かに、空は青く澄んでいる。
本当に「神」が存在するのか?
(…チクショウ、なにがかみさまだ。テメーなんかクソ食らえ)
慈悲も加護も慈愛も、俺の空腹と疲労を癒してはくれない。
あぁ、空はこんなにも青く美しいのに。
(…真っ暗だ)
ぼんやりと重くなる瞼に、世界は幕を閉じてゆく―――。
「こんなとこでひなたぼっこしてるバカがいる」
声が聞こえる。
跳ねるようなトーンの、高い女の声。
「そんなバカ、放っておいたら」
これは違う声。
えげつないことを言っているのに随分と聞き心地の良い声をしている。
「でもコイツ、顔が土気色してるよ」
土気色?なにが?
「じゃあ死体なんだよ。ほら行くよ」
「待てって。生きてるよ、こいつ」
―――こいつ?
「こいつ」って誰のことだ?
(あぁ、ちくしょう)
腹が減り過ぎて最早痛い、吐き気がする、それに眠い。
声の主を見たいのに、瞼が開かない。
「おいこら、クソガキ、起きろ」
瞼が―――。
「っ誰がクソガキだ!このやろうっ」
反射的に瞼を持ち上げれば、そこに居た「奴等」が視界を占めた。


