どくどく。
鼻を刺す青臭い匂い。
嗅ぎ慣れた枯れたにおいじゃなく、水分を含むような、それ。
有り得ない期待に、ぶるりと体が震えた。
「―――、」
視界いっぱいに広がる、鮮やかな緑の土地。
大きく成長した植物はないが、荒廃した地面に確かに敷き詰められた背の低い植物達。
生きている、呼吸音。
「いて」
呆然と見惚れていると、ミチコが俺の下で鳴いた。
興奮しすぎてミチコの髪をぎゅうと掴んでしまっていたらしい。
「まだ育ちが良いとは言えないけど、着実に根を這って生きているよ」
ミチコから抱上げた俺の体を、雲雀はゆっくりと地面へと降ろした。
声が出てこない。
なにを口にすればいいのか、バカな俺にはわからなかった。
―――緑が、広がっている。
固く冷たい大地しか見たことのなかったこの眼が今、艶やかな緑の実りを見つめている。
ひくり、と頬の筋肉が震えた。
「ぅ、ぁ」
何故、こんな無様に泣いてしまったのか解らない。
ただ目の前に広がる緑が美しくて美しくて、生きて、いることが。


