「よく知ってるじゃん。あんた、頭いいね」
完全にバカにされている。
「確かにこの辺りは最終目的地だったから、開拓はまだまだ進んでないけどね」
倫子が俺の体を抱き上げながら言う。
くるりと体を空中で半回転させられたかと思ったら、肩車をされた。
俺は悲鳴を上げて慌てて倫子の頭にしがみついたが、倫子もバランスを崩してふたりして悲鳴を上げる。
雲雀が呆れたように倫子の肩を支えてくれた。
いつもより高い視線は決して違う世界のようではなかったが、倫子の視線はまるでおもちゃ箱を闊歩するように愉しげに揺れていた。
さらさら。
水分を含んだような風が吹いて、鼻の頭を擽る。
「遅くなって悪かったね。あんたにも見せてあげるよ、緑の絨毯」
―――すん。
ミチコが笑うと、見知らぬ香りが俺の鼻孔を突ついてきた。
「…?」
ぐるり、辺りを見渡す。
少し小高い段差の先、きらきらと太陽光が巡る、瑞きの色。
ミチコの歩調が俺の心臓と連動するように速くなる。


