「照れてねーよ!お前もう大人だろ!ひとりで寝ろっつってんだよ!」
「あーん?このバカヤローめ。ひとりで寝たりなんかしたら凍死しちゃうだろーが」
そう言って俺のところまで来て、俺の体を簡単に抱き上げる。馬鹿力め。
そのまま強引に布団の中に引きずりこむと満面の笑みを浮かべた。
「ま、ま、ひとりで寝るより絶対あったかいからさ」
そうして俺の頭を撫でるように腕を回す。
(…そういう問題じゃねえんだよ)
俺は薄汚いカッコのままだ。
風呂にだってもう何日も入っていない。
こんなに汚い俺がこの触り心地のいい、きれいで温かな布団で眠っていいわけがない。
(よごしてしまう)
「ヒカリ、詰めて」
そんなことを考えていると、いつの間にか雲雀が隣に来ていた。
小さなランプひとつが灯る薄闇の中で、雲雀の綺麗な顔がゆらゆらとしている。
外では唸るような風が吹いているのに、この洞穴だけ、とても静かだ。


