「い、いただきます…」
少し気後れしながらそう囁いて、湯気の立つ料理を口に運んだ。
「沢山あるからたーんと食えよ、成長期」
ミチコが飯を頬張りながら俺の頭を叩く。
そんなミチコをたしなめるヒバリ。
口にした飯は、本当に美味かった。
なりふり構わずがっついてミチコに笑われ、ヒバリに行儀が悪いと怒られて、まるで。
(…家族みたいだ)
パチパチと揺れる焚火に照らされた俺を含む三人の影が、何故か照れ臭い。
―――「家族」。
そんなものに憧れていたわけでもないのに。
「よし、寝ようかヒカリ」
夕食を終えてヒバリを手伝いながら後片付けをしていると、ひとり先に地べたに直接引かれた巨大な寝袋に潜りこんでいたミチコが俺にそんなことを言ってきた。
「だれが寝るか!ひとりで寝ろよ!大人だろ!」
寝袋の上に被せられた分厚い布団をぺたぺたと叩くミチコに慌てて言い返すが、ミチコはさも愉快げに口角を釣り上げて笑いやがった。
「つれないなぁ、このお子様は。もしかして照れてんの?ヒカリちゃん、まさか照れてんの?」
三日月に歪んだ両目が憎たらしい。


