「あああ、めっちゃ腹減ったー」
カチャン。
箸を手にしたミチコが不満げに呟いた。
やっとこさ見つけた洞穴内はヒバリ達が持参したランプに照らされ、暖かな空気に満ちている。
風の届かない洞穴の奥で焚火を炊きながらの夕飯の最中。
給仕係りはヒバリ。
洞穴を見つけてすぐ居なくなったかと思えば、少量の食料を手に戻ってきた。
聞けばテレポートで街まで出向き調達してきたらしい。
アダムって便利過ぎる。
「ヒカリー、お腹空いたよねー」
だらりと肩に凭れかかってきたミチコが俺に同意を求める。
暗にヒバリへの皮肉らしい。
「ちょっと、ヒカリは我慢してるんだから君も静かにしたら」
そんなミチコにヒバリへの一喝。
そうして小分けされた料理は、簡易食料で作ったとは思えないほど美味しそうで、豪勢だった。
「いただきます!」
ぱちんと音を立てて合掌したミチコに倣い、手を合わせる。
この期に及んで毒が入っていないか疑ってしまった俺は、ヒバリが飯に箸をつけたのを見てから飯に手を伸ばした。


