そんな「アダム」と、まさかこんな場所で出会うなど思っていなかった。
(ヒバリがアダムってことは、じゃあミチコも?)
思わずミチコを見るが、見た目では判断出来る筈もない。
俺同様、ヒバリに抱き着いているミチコはこちらの視線に気付くことなく眼下を見下ろしている。
それに釣られるように、地面に立っていた時より強く吹き荒む風に目眩を感じながら眼下の景色を臨んだ。
「…あれま、」
地を這うような音が収まったところで、ミチコが気の抜けた声を出した。
「地盤、手つける前に固まっちゃったじゃん」
「空洞を埋めるように土地が動いたからね。丁度良かったんじゃない」
そんな会話を繰り広げつつ、ヒバリは俺たちを抱えたままゆっくりと降下する。
「ヒカリ、怖くなかった?」
地面に足が着いたところで、ミチコが意地悪げにこちらを見てきた。
愉快そうな目付きがムカつく。
「こわくなんかねえよ!」
思わず唇を尖らせ反論すれば。
「いいね、男の子はそうじゃなきゃねぇ」
にやにやと笑みを湛えたまま、ミチコは俺の頭を撫でてきやがった。


