「うわ、やっぱ此処に繋がってたんだ。まずかったかな」
ミチコが俺の頭に手をやりながら唇を尖らせる。
さっきから二人はなんの話をしているのか。
益々ついて行けない俺を慰めるように、ヒバリの手までもが俺の頭を撫で出した。
「別に構わないんじゃないの。この辺りは一年前から地形が安定していなかったみたいだし。地下水の上昇低下にかなり左右されてたみたいだね」
地形について議論するふたり。
そのふたりに頭を撫でられている俺。へんなの。
「…うーん、地盤、固めといたほうがいいかもなあ」
そう呟くと、ミチコはとん、と片足で地面を蹴った。
カツン。
蹴られた小さな石が転がって地面に出来た浅い裂け目に嵌まる―――その時。
まるでそれを合図にしたかのように、地面が激しく揺れはじめた。
「うわっ」
脳髄が揺さぶられるような揺れに、思わずヒバリの腰に抱き着く。
そんな俺をすぐさま抱き上げて、ヒバリは瞬時に周囲を見渡した。
「地鳴りだ」
呟くと、空いた腕でミチコを抱き寄せる。
そのまま揺れがなくなったと感じた時には、俺は宙に浮いていた。


