―――けれどふたりは、まるで荒野の先が見えているかのようにどんどん先へと進んで行く。
たまに立ち止まって空を仰いでは方角を確認し修正して、行き先を少しずつ変えながら。
(どこになにがあるか解ってるのか…?まさか、)
この世界に正しい「地図」はない。
戦前の旧地図は存在するとしても、三分の一の陸を海水に飲まれたこの現代でそんなもの役に立たない。
(…なのに、こいつら)
真っ直ぐ淀みなく進む。
まるで見えない道標を辿るかのように。
「…あれ、地形が変わってる」
そして三十分程歩いたところで、ぴたり、俺の手を引いていたミチコが足を止めた。
ぼんやりと呟いた台詞を不思議に思いながら、その視線の先をなぞるように見やる。
ごつごつとした地形は、先程から見ている光景と変わらない。
(ここの地形が変わってる?こいつら、此処に来たことがあるのか)
首を傾げていると、ヒバリが隣に来て、俺達と同じように地形を観察するように見た。。
「一月前、東で地下水を引き上げたのが、ここに影響が出たようだね。地盤沈下で地形が変わってる」


