AEVE ENDING other storys







思わず空を仰げば、ひたすら歩いているうちに少しずつ少しずつ色を変えていったらしい。


(夜が近い)

太陽が沈み始めると、また徐々に雲が増えてゆく。
最近じゃ青空はそう珍しくないが、星空は未だかつて見たことがなかった。


(―――この星は、本当に生きているのだろうか)




「今日は野宿だね」

そんなことを考えていると、そんな一言が聞こえてきた。
その単語に、思わずうんざりする。

また野宿か、と思わずにはいられない。
人生の半分以上は野宿が占めているが、この時期は特に辛いのだ。

(地面や風の冷たさも、身を裂くような空気の尖りも、餓えも苦しみも痛みも)



「私は野宿でいいけどさあ、ヒカリが居るじゃん。うちらはまだ街から出てきたばっかだけど、ヒカリは辛いんじゃないの?」

俺の顔を見たわけではないのだろうが、俺の考えを見透かしたようにミチコが言う。
まるで母親のようだ、と思うのはもうこれで二回目。